英国には歴史あるブライドルレザーがあるようにイタリアにはミネルバボックスという伝統製法で生み出された歴史ある皮革があります。他の皮革とは異なるミネルバボックスの魅力とおすすめのブランド財布をご紹介致します。
ミネルバボックスの最大の特徴は表面のシボと呼ばれる凹凸です。他の皮革ではあまり見られない味わい深い皮革です。また、その落ち着いた風合いもミネルバボックス特有のものですね。
Cocomeister – ココマイスター –
2009年にスタートした国内ブランドであるココマイスターでは様々な皮革をシリーズごとに取り揃えています。ミネルバボックスもその一つでココマイスターでは「マルティーニシリーズ」でミネルバボックスが外側内側の両面に使用されています。財布の種類も豊富でお馴染みのラウンドファスナータイプから二つ折り財布、かぶせ蓋タイプの長財布まであなたのお好みのスタイルもきっと用意されているはずです。
マルティーニ・クラブウォレット
価格 | 38,000円 |
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素材 | ミネルバボックス |
ブランド | ココマイスター |
カラーバリエーションも各財布の種類に3色~5色が用意されており、ミネルバボックスと言えばというようなブランデーがイチ押しですね。マットな落ち着いた印象を受けるミネルバボックスを使用したマルティーニシリーズですが、経年変化に富んでおり、使用していく中で色は濃くなり、艶が出てきます。ヌメ革に負けずとも劣らない経年変化のしやすい皮革です。「革財布」として楽しみたいユーザにとってはピッタリの革財布です。
またミネルバボックスを生産している老舗タンナーであるイタリアのバダラッシ・カルロ社。このタンナーの皮革を使用した財布をココマイスターではもうひとつ用意しています。それが「マットーネシリーズ」です。マルティーニと非常に似ている皮革で柔らかく、経年変化に富んでいます。シボ感はマルティーニよりも弱く内側にはヌメ革を使用しているため外側と内側とでコントラストが生まれ、マルティーニとはまた異なる雰囲気を持つシリーズです。
マットーネ ラージウォレット
価格 | 29,500円 |
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素材 | マットーネ |
ブランド | ココマイスター |
アヤメアンティーコ
アヤメアンティーコはイタリア産の皮革を主に使用したラインナップを取り扱っているレザーブランドです。イタリアの伝統的な皮革と言えば、そうミネルバボックスです。またミネルバボックスと同じタンナーが作るミネルバリスシオを使用した財布もあります。アヤメアンティーコの財布はイタリアの皮革を日本の職人が縫製するのでメイドインジャパンとなりますが、イタリアに手縫い専門工房を置いており、革小物製品を手縫いで作っています。このことからわかるように非常にイタリアと馴染み深いブランドで、使用している皮革もイタリアに1000年続くと言われている伝統製法であるバケッタ製法により生み出されたミネルバボックスとミネルバリスシオを採用しています。アヤメアンティーコはマイナーブランドではありますが、世界的に人気の高いミネルバボックスについてはハイブランドにも劣らない技術と知識を持っています。
イントルノ ポルタフォーリオ
価格 | 29,000円 |
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素材 | ミネルバボックス |
ブランド | AYAME ANTICO |
アヤメアンティーコが採用している皮革で特徴的なのがミネルバリスシオです。ミネルバボックスとほぼ同様の皮革でタンナーも同じカルロ・バダラッシ社が作っています。見ればすぐにわかるのですが、ミネルバボックスは革表面のシボ(凹凸)が特徴なのに対し、ミネルバリスシオは非常に滑らかな表面をしています。ミネルバボックス同様に経年変化に富んでおり、味わい深く発色するのが特徴的です。
ポルタフォーリオ グランデ
価格 | 31,000円 |
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素材 | ミネルバリスシオ |
ブランド | アヤメアンティーコ |
GANZO – ガンゾ –
国内で非常に人気の高いレザーブランドのガンゾでは様々な皮革を使用したレザーアイテムを取り揃えています。一つ一つ丁寧に作られた製品にはGANZOの刻印が押されており、使用している人を見かけたことはあるのではないでしょうか。そんなガンゾでもミネルバボックスを使用している財布があります。シリーズ名は「ミネルバナチュラル」です。上記二つのブランド同様のタンナーであるバダラッシ・カルロ社が作るミネルバボックスを使用しています。
アヤメアンティーコでも紹介したミネルバリスシオを使用したシリーズもあるのですが、残念ながら財布は取り扱ってなく、現在(2016年4月15日)はiPhone用のカバーとブリーフケースが販売されています。
ミネルバナチュラル 二つ折り財布
価格 | 29,160円 |
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素材 | ミネルバボックス |
本シリーズは「ナチュラル」という名前からわかるようにナチュラルカラーで染め上げており、最大限に経年変化を楽しめる使用になっています。選択できる色はもちろんナチュラルカラーのみとなっています。小銭入れ、二つ折り財布からラウンドファスナー長財布タイプまで取り揃えてありますが、オンラインストア、直営店のみの販売で、売り切れ状態が続いているのが残念なところです。
GR ラウンドファスナー小銭入れ
価格 | 19,440円 |
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素材 | ミネルバボックス |
またガンゾノ「GRシリーズ」では、同様にミネルバボックスを使用しており、ブラックとカーキ色に染色したラウンドファスナー長財布が用意されています。財布表面にあるガンゾのロゴには赤色のブローチがアクセントとして置かれています。インパクトの強いカーキ色はミニタリー調にも感じられ合わせるアイテムを選びそうでもあります。
ミネルバボックスについて
ココマイスター、ガンゾ、アヤメアンティーコ等の日本のレザーブランドだけでも多くが使用しているミネルバボックスですが、その魅力は何でしょうか。
イタリアのサンタクローチェ・スッラルノというタンナーが密集している街に上記3ブランドが取り扱っているミネルバボックスを作る「バダラッシ・カルロ社」があります。バダラッシ・カルロ社のミネルバボックスは世界的にも人気でイタリアの伝統製法である「バケッタ製法」という1000年も続くと言われている製法で一つ一つ数多くの工程を踏んで作られます。この「バケッタ(Vaqueta)」というのは化学薬品などを使用せず植物由来の成分で鞣した革のことを指しており、古くは主流だった製法でしたが、現在では手間・コストがかかりすぎるため、生産するタンナーも少なくなっているのが現状です。
そんなバケッタレザーの中でミネルバボックスは牛脚油でしっかりと加脂しており、たっぷりとオイルが染みこんだミネルバボックスはオイルが抜けにくいという特徴を持ちます。なので、購入当初はメンテナンス用品のオイル等で加脂する必要はありません。自然のままに出来上がったミネルバボックスはエイジングが強い皮革として知られています。使用していく中でどんどんと色が濃くなる特徴を持ち、経年変化を楽しみたい方にとってはうってつけの皮革となります。
自然なシボを生み出す技法「空打ち」
またミネルバボックスの革表面のシボは特徴的で、ドラムという大きな樽で「空打ち」と呼ばれる工程を踏むことにより、型押しとは異なる強弱のあるシボが生まれます。広義ではシボのことを「シュリンク」と呼んでいますが、シボを作るためには二つの方法があり、バダラッシ・カルロ社のような空のドラムを回して自然なシボを生み出す「空打ち」というものと、革表面に収縮剤を使用して縮ませる「シュリンク加工」というものです。